中小企業省力化投資補助金(一般型)は、人手不足に対応するための設備投資やシステム構築について、経費の一部を補助する制度です。第7回公募の申請受付は、2026年7月31日17時までです。
求人を出しても、応募が来ない。
来てくれても、数か月で辞める。
残った社員の残業が増え、社長自身も現場に入らざるを得ない。
そんな状態が続くと、社長はこう考えます。「新しい人を採るより、機械を入れたほうが早いのではないか」
ただし、自動化のための設備投資は、数百万円から数千万円かかることもあります。
その負担を軽くする補助金があります。中小企業省力化投資補助金(一般型)です。
この記事では、制度の概要と、申請までに何をすべきかを整理します。
中小企業省力化投資補助金(一般型)とは
中小企業省力化投資補助金(一般型)は、人手不足に対応するための設備投資を支援する制度です。正式な事業名は「中小企業省力化投資補助事業」。中小企業庁が所管し、中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営します。
工程の自動化、ロボットの導入、業務システムの構築などが対象です。自社の現場に合わせて、設備やシステムを組み合わせる投資も認められます。
カタログ注文型と一般型の違い
似た名前の制度に「カタログ注文型」があります。こちらは、あらかじめカタログに登録された省力化製品を選んで導入する型です。
今回取り上げる一般型は、自社の現場に合わせてオーダーメイドで設計する投資向けです。その分、補助上限額も大きくなっています。
第7回公募の公募要領は、2026年6月5日に中小企業庁のホームページで公開されました。
対象者・補助率・補助上限額
対象は、中小企業者・小規模企業者等です。製造業・建設業・サービス業など、幅広い業種の会社が対象になります。特定非営利活動法人や社会福祉法人も対象に含まれます。
補助率は次のとおりです。
- 中小企業:補助対象経費の2分の1
- 小規模企業者・小規模事業者、再生事業者:補助対象経費の3分の2
なお、中小企業については、後述する「最低賃金引上げ特例」に該当する場合、補助率が3分の2に引き上げられます。
補助上限額は、従業員数によって変わります。
| 従業員数 | 通常 | 大幅賃上げ特例 |
|---|---|---|
| 5人以下 | 750万円 | 1,000万円 |
| 6〜20人 | 1,500万円 | 2,000万円 |
| 21〜50人 | 3,000万円 | 4,000万円 |
| 51〜100人 | 5,000万円 | 6,500万円 |
| 101人以上 | 8,000万円 | 1億円 |
ただし、「補助金があるから設備を入れる」という順番は危険です。先に確認すべきなのは、その設備投資で本当に人手不足が軽くなるのか。そして、自己負担分を自社が無理なく負担できるのか、です。
「大幅賃上げ特例」と「最低賃金引上げ特例」の違い
賃金に関係する特例は2つあり、効果と要件が異なります。混同しやすいところなので、分けて整理します。
大幅賃上げ特例は、補助上限額が引き上げられる特例です。主な要件は次の2つです。
1つ目は、1人当たり給与支給総額を、基本要件である年平均成長率3.5%以上に加えて、さらに2.5%以上、合計6.0%以上増加させること。
2つ目は、事業所内最低賃金を、事業実施都道府県の最低賃金+50円以上の水準にすることです。
最低賃金引上げ特例は、中小企業の補助率が2分の1から3分の2に引き上げられる特例です(小規模企業者等・再生事業者は、もともと3分の2のため対象外です)。地域別最低賃金に近い水準で雇用している従業員が、全従業員の30%以上を占める月が3か月以上あること、という趣旨の要件です。対象となる期間などの詳細は、公募要領で確認してください。
つまり、上限額の引き上げと補助率の引き上げは、同じ「賃上げ」に関係する特例でも、中身が別物です。実際に申請する際は、自社がどの特例に該当するかを、公募要領で確認する必要があります。
申請までに、具体的にやること
- 公募要領と応募申請の手引きを読む(中小機構の一般型サイトからダウンロード)
- GビズIDプライムを取得する。申請には必須で、取得に一定の日数がかかります。まだ持っていない会社は、できるだけ早く手続きを始めてください
- 事業計画を作る。基本要件は、労働生産性を年平均4.0%以上向上させる計画です。加えて、1人当たり給与支給総額を年平均3.5%以上増やすこと。事業所内最低賃金を、事業実施都道府県の最低賃金より30円以上高く保つこと。この賃上げ要件も満たす必要があります(従業員21名以上の会社は、一般事業主行動計画の公表も必要です)。導入する設備・システムの仕様や見積根拠が分かる資料も用意します
- 申請受付期間中に電子申請する。第7回の受付は2026年7月1日から7月31日17時までです
採択発表は2026年11月中旬の予定です。申請してから採択が分かるまで、4か月ほどかかる計算になります。
申請前に注意しておきたい点
交付決定前に設備を発注してはいけません。
「いい機械が見つかったので、先に契約した」という順番は認められません。補助対象になるのは、交付決定の通知を受けたあとに契約・発注した分だけです。理由を問わず、事前発注は補助対象外になります。
補助金は、後払いです。
採択されても、その場でお金が振り込まれるわけではありません。設備を導入し、事業を完了させたあとに実績報告を行い、審査を経て補助金が支払われます。導入費用は、いったん自己資金や借入でまかなう必要があります。資金繰りの見通しを立ててから申請することをおすすめします。
締切まで、時間に余裕はありません。
公募要領は6月に公開済みですが、申請受付は7月31日で締め切られます。GビズIDの取得から事業計画の作成までを、残された期間で進めることになります。導入を検討している設備がすでにある会社は、早めに動き出す価値があります。
まとめ
- 中小企業省力化投資補助金(一般型)は、人手不足対策の設備投資を支援する補助金です
- 補助率は、中小企業が2分の1、小規模企業者・小規模事業者・再生事業者が3分の2です
- 中小企業でも、最低賃金引上げ特例に該当する場合は、補助率が3分の2に引き上げられます
- 補助上限額は従業員規模に応じて750万円〜1億円で、大幅賃上げ特例に該当する場合に引き上げられます
- 申請受付は2026年7月31日17時まで。交付決定前の発注は認められません
設備投資は、補助金の有無だけで判断するものではありません。ただし、人手不足への対応としてすでに投資を検討している会社にとっては、負担を軽くする選択肢になります。
補助金の前に、自社の投資余力を確認する
RMCビジネスラボがお手伝いするのは、補助金を使うかどうかを決める、その前の段階です。「そもそも自社の数字で、どこまでの投資に耐えられるか」を整理します。まずは経営健康診断で、投資余力とBS・PLの現状を棚卸しすることから始められます。事業計画のたたき台整理や数値の組み立てが必要な場合は、スポットでの支援も可能です。申請書そのものの作成は、必要に応じて提携先と連携します。
よくある質問
Q1. 中小企業省力化投資補助金(一般型)とは何ですか?
人手不足に悩む中小企業等が、業務プロセスの自動化、ロボット導入、システム構築などの省力化投資を行う際に、経費の一部を補助する制度です。一般型は、自社の現場に合わせた設備導入・システム構築に使える点が特徴です。
Q2. カタログ注文型と一般型の違いは何ですか?
カタログ注文型は、あらかじめカタログに登録された汎用的な省力化製品を導入する制度です。一般型は、自社の現場や事業内容に合わせて、設備やシステムを組み合わせるオーダーメイド性のある投資に対応しています。
Q3. 補助金はいつ受け取れますか?
補助金は原則として後払いです。採択後すぐに振り込まれるわけではありません。交付決定後に設備を導入し、事業完了後に実績報告を行い、審査を経て支払われます。そのため、自己資金や借入による資金繰りの確認が先に必要です。
Q4. 交付決定前に設備を発注してもよいですか?
交付決定前に契約・発注した設備は、理由を問わず補助対象外です。先に契約してしまうと補助金の対象にならないため、必ず交付決定の通知を受けてから発注する必要があります。
Q5. 補助金を使うかどうかは、何を見て判断すべきですか?
補助金の有無だけで判断するのではなく、自己負担額、借入の必要性、投資回収期間、人件費削減や生産性向上の見込みを確認することが重要です。その設備投資に耐えられるBS・PLかどうかを、先に整理しておく必要があります。
※本記事は、2026年7月10日時点で公開されている情報をもとに整理したものです。公募要件や様式は変更される場合があります。実際に申請する際は、必ず公式サイトで最新の公募要領・応募申請の手引きをご確認ください。採択を保証するものではありません。
出典・参考資料
- 中小企業庁「中小企業省力化投資補助事業(一般型)の第7回公募要領を公開しました」(2026年6月5日)
- 中小企業省力化投資補助金 公式サイト(一般型トップページ)
- 同 スケジュールページ(第7回:申請受付2026年7月1日〜7月31日17時、採択発表11月中旬予定)
- 同 一般型とは(基本要件・補助率・補助上限額・大幅賃上げ特例・最低賃金引上げ特例)
この記事を書いた人
日置 尚義(ひおき なおよし)|中小企業診断士・認定経営革新等支援機関|RMCビジネスラボ代表。製造業・飲食業・小売業・BtoBサービス業の「売上はあるが手元に残らない」を1回の経営定期健診で整理する。

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